第1回口の健康プロジェクトを開催しました

2026年9月7日

歯科への相談は、歯の痛みや入れ歯だけではありません。食べること、嚥下、誤嚥性肺炎の予防、看取りまで、多職種で支えられることを実際の事例から考えました。

歯科の方も、歯科ではない方も

8月25日、第1回口の健康プロジェクトをオンラインで開催しました。

歯科医師、歯科衛生士、医師、看護師、薬局、介護・福祉関係者、食支援や地域活動に携わる方など、さまざまな立場の皆さんが参加しました。

草川洋先生をはじめ、訪問歯科や在宅医療、介護の現場で活動する皆さんから実践事例を紹介していただき、口の健康を多職種で支える際の課題と可能性について話し合いました。

口の健康は、歯科だけで完結するものではありません。生活の中で本人を支える介護職や看護師、栄養や薬に関わる専門職、家族など、多くの人が関わることで支援が続いていきます。

口腔ケアは、口の中をきれいにするだけではない。食べること、話すこと、その人らしい時間を支える。

もう一度、食べたいものを食べるために

義歯調整と生活場面での支援

動揺歯の痛みをきっかけに訪問歯科が始まった高齢者の事例が紹介されました。本人は当初、抜歯や下顎の義歯を作ることを希望していませんでした。

月2回の口腔ケア、舌や口の体操、唾液腺マッサージ、口腔機能検査を続け、本人と家族の意向を確認しながら義歯を作製しました。さらに、ヘルパーが食事中の動画を撮影して歯科へ共有し、生活の中で継続的に声をかけました。

歯科による処置と、日常を支える介護職の働きがつながったことで、食形態を段階的に上げ、最終的には本人が希望していた唐揚げなどを家族と同じように食べられるようになりました。

この事例で大切だったのは、義歯を作って終わらなかったことです。歯科が口の状態を整え、ヘルパーが普段の食事場面を見守り、動画を通して情報を共有したことで、本人の「食べたい」が実際の生活につながりました。

看取り期にも、口から支えられることがある

最後に交わすことができた会話

末期がんで、「少しでも食べさせたい」「日本酒を味わわせたい」という家族の希望があった方への訪問歯科の介入も紹介されました。

口腔機能検査が難しい状態でしたが、嚥下内視鏡検査や保湿ジェルを使ったケアを行いました。短期間の関わりだったものの、口の中を清潔にして保湿した後に発語があり、ご家族から「最後に会話ができてよかった」という言葉があったそうです。

口腔ケアは、清掃や肺炎予防だけではありません。本人の尊厳や、家族との最後のコミュニケーションにもつながる支援であることを教えてくれる事例でした。

なぜ、歯科につながらないのか

歯科への依頼は、歯や歯ぐきの痛み、入れ歯の不具合に偏りがちです。食欲の低下、嚥下、誤嚥性肺炎の予防、看取り期の支援についても歯科へ相談できることが、医療・介護の現場に十分伝わっていないという課題が共有されました。

同時に、歯科側からも「口腔機能や嚥下にも対応できる」ことを発信する必要があります。顔の見える関係をつくり、口腔機能検査の数値や食事中の様子を共通の情報として持ち、専門用語が分からなければ互いに確認する。そうした基本的な積み重ねが、相談しやすく、紹介しやすい関係につながります。

多職種でつなぐために大切なこと

  • 歯や入れ歯だけでなく、食欲や嚥下の変化も歯科へ相談する
  • 食事中の様子や動画を、生活を支える職種と歯科で共有する
  • 口腔機能検査の数値を共通の指標として活用する
  • 治療計画や経過を連携ツールで分かりやすく伝える
  • 普段から顔の見える関係をつくる

第1回から見えてきた、これから

今回は、訪問歯科の事例を通して、歯科と医療・介護がつながることで何ができるのかを考えました。

次は、今回の話を看護師、介護職、ケアマネジャーなど、日常の生活支援に関わる方へどう届けるかが課題です。「こんなときにも歯科へ相談できる」と知ってもらい、必要な人が必要な支援につながる入口を広げていきます。

次回は、2026年9月22日(火)19時からオンラインで開催します。

口の健康のこと、一緒に学びませんか

専門知識の有無にかかわらず参加できます。今後の開催案内は公式LINEでお知らせします。

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お知らせ

Posted by izumi