申し送り、介護記録、家族への情報共有、AIによる要約。機能を増やすだけではなく、職員が無理なく使い続けられる仕組みをどうつくるかを話し合いました。
第2回介護施設交流会を開催しました
9月15日15時から、第2回介護施設交流会をオンラインで開催しました。
今回は、栃木県足利市の特別養護老人ホーム、愛媛県松山市のグループホームをはじめ、介護事業者、システム開発、介護施設に関わるサービス事業者が参加しました。
第1回の交流会で話題に上がった介護現場の情報共有をさらに具体的に考えるため、介護記録システム「FTケア」の現在の活用事例と、開発中の新バージョン・AI機能を題材に意見を交わしました。
記録と申し送りを、一つの流れにする
FTケアを実際に活用している事業所からは、申し送り、介護記録、職員間の連絡を一つのシステムで管理している事例が紹介されました。
記録に紐づけて申し送りを作成し、誰が確認したか、どのようなコメントがあったかを残すことで、伝達漏れを防ぎやすくなります。利用者単位、部署単位で必要な情報を確認でき、複数の事業所やサービスを同じ法人環境で管理することもできます。
支援経過、バイタル、モニタリングなどを蓄積し、必要な情報を抽出・印刷できるため、日々のケアだけでなく、運営指導時の資料確認にも活用できたとの報告がありました。
家族に伝えるところまでが情報共有
愛媛県内でDX認定を更新しながら取り組みを進めている事業所では、記録を紙からデータへ移し、食事量や体調などを家族へLINEで共有しています。
ペーパーレス化は、紙をなくすことだけが目的ではありません。現場で記録した情報を、必要な職員が確認し、家族にも分かる形で届ける。情報が実際に使われるところまで設計することが大切です。
記録と申し送り
記録から申し送りを作成し、確認状況やコメントまで一つの流れで管理します。
運営と情報管理
複数事業所の情報をまとめ、権限に応じて閲覧範囲を分け、必要な資料を取り出します。
家族への共有
食事や体調など、施設が持つ情報を家族へ分かりやすく届けるところまで考えます。
AIが記録を整理する新しい機能
開発中の新バージョンでは、紙に記入したバイタル表を撮影し、AI-OCRで体温や血圧などを読み取って記録へ反映する機能が紹介されました。
音声から介護記録や申し送りを文字にし、利用者名、バイタル、食事量などの項目に整理する機能も開発されています。蓄積された記録から、その日の申し送りや一定期間の利用者サマリーを作成し、食事、排泄、睡眠、受診状況など、確認したい観点を指定して要約することも想定されています。
さらに、基本情報、アセスメント、モニタリングなどを参照し、サービス計画書やアセスメントの案を作る機能も検討されています。ただし、AIが作成した内容をそのまま完成品にするのではなく、最終的には職員が確認し、利用者の状況に合わせて修正することが前提です。
新しい機能より先に、移行と教育を考える
意見交換で最も大きな論点になったのは、新バージョンへの移行方法と、職員が無理なく使えるようになるまでの支援です。
画面やメニューの構成が変われば、これまで使ってきた職員ほど戸惑うことがあります。職員の年齢やITへの慣れにも差があり、通常業務を続けながら研修時間を確保することも簡単ではありません。
過去の記録や申し送りを失わずに引き継ぐこと、全機能を一度に切り替えず段階的に導入すること、現場の業務に沿った操作手順を示すことが必要だという要望が出ました。
現場で使える仕組みにするための確認点
- 既存の利用者情報と過去の記録を確実に移行できるか
- 職員の習熟度に合わせて段階的に導入できるか
- 通常業務を止めずに学べる説明方法になっているか
- AIが作った記録や計画案を誰が確認するか
- 導入後に現場の負担や情報共有が本当に改善したか
次回は「どう使えるようにするか」を考えます
次回は、FTケアの機能をさらに紹介する会ではなく、現場職員が実際に使えるようになるための導入方法と教育に焦点を当てます。
すでに活用している事業所の経験を参考にしながら、これから導入を検討する施設が、自分たちの運用を具体的にイメージできるようにします。開発側にも、データの引き継ぎ、移行手順、現場向けの説明方法を整理していただく予定です。
介護施設交流会では、製品や成功事例を一方的に紹介するのではなく、実際に使う現場の疑問や不安も持ち寄り、それぞれの施設で試せる方法を一緒に考えていきます。